放課後、図書館からロック・ミュージック。

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【レビュー】 曽我部恵一BAND『キラキラ!』

今回のレビューは、曽我部恵一BANDが今年リリースした初のスタジオ・アルバム『キラキラ!』です。


キラキラ!キラキラ!
(2008/04/15)
曽我部恵一BAND

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SKB Can Rock You!!

10点 マサ太郎(22歳・男) →Blogs Like Teen Spirit 2

 『「今、ただロックすること」の恥ずかしさを、曽我部恵一は笑って受け入れる。何となく暗い時代。世を見渡せば、社会病理を担保する多種多様なマジック・ワードが大量消費されている。安っぽいセレブ志向。ボビー・ギレスピーは言った。「現代人が手に入れたのは自由などではなく、好きな物を買えるだけの金だ」と。そんな2008年にあって、刹那のロックが鳴らされたところで我々の生きづらさが消えることもない。だからこそ、彼らはこの瞬間を録音したのだろう。字余りな心で探す幸せの形、あるいは止まない雨の中で守り続ける人間らしさ、それを曽我部恵一は「キラキラ!」と呼んだ。』
 ライブドアの本拠地ブログにおいて、俺はこう書いている。あるいは、『地元のガソリン・スタンドに就職したという昔の同級生が、これを聴いてたら良いのに』とも。他にもまあ、色々書いてある。出来ることならばそれを全て書き写したいが、不可能だ。いずれにせよ、「この高いテンションはどこか異様にさえ思える」と嘆く古いファンの人は、やはり曽我部恵一の良き理解者だろう。あるいは、「色々な音楽を聴いて自分のレベルを上げる」というRPGが好きな人からすれば、音楽性の幅を意図的に限定したこのロックンロール以上でも以下でもない35分に、0点を付けることだって可能だろう。
 しかし、だ。そんな小手先の議論を繰り返している内に、恐らくは9.11以降に加速した途方もない無力感、つまり「僕らは世界を変えることは出来ない」という現代ロックに取り憑いたその新しい共同幻想は、ここ日本にまで及ぶものとなった。複雑化する亀裂や分断、そして瞬く間に連鎖する憎しみや悪意を前に、「正しいこと」を描くことは、今、何よりも難しい。巧妙に入り込んだ名前のない宗教や、新しい奴隷制度。あるいは蔓延る拝金主義。その中にあって、ただ「自分が信じること」を真っ直ぐに、そしてその演出に最も相応しいであろう音楽=ロックンロールで提示したこのバンドに、今後二度と使わないかも知れない最高評価を。


三十代のマイ・ジェネレーション

3点 タカシ(28歳・男) →Rock ? Stock ? Nonsense !!

 光が眩しいんじゃない! 希望が眩しいんだ! なんて臭い言葉が似合う直球ロックが飛び出てきたことに驚いた。前回の『ラヴ・アルバム』を聴いて思ったことでもあるけれど、この曽我部という男、僕にはポップ職人というイメージがあって、どんな方法でも、いかにポップであるかを追っているアーティストだなという感じがあった。のだけど、『キラキラ!』というネーミングもまた眩しい本作は、単純にグッド・メロディであることを衝動でなのか、確信犯的になのか、やっている。いや、たぶん、意図的に直球で勝負してるんだと思う。
直球ロックとはいえ、熟練ポップ魔術師、曽我部にかかれば単調に思えるロックも味がある。シンプルにすればするほど曽我部という男の味が出てくる。その味は渋味ではなく、大人の余裕とでも言うか、寛大さとでも言うか。三十代の男が放つ『キラキラ!』には眩しさとともに笑顔のような温かさがある。
 音楽性がアヴァンギャルドでプログレッシヴ、みないなものは、ない。よくドライブしてスウィングするロックンロールですよ、と言ってしまえばそれで伝わってしまう音かもしれない。それでも何かを言うとしたら、ざらついた音質にし、ナマっぽさを出している。だけどこの突っ走っちゃってる音楽にそんな野暮な言葉は置いておこう。突っ走っているといっても盗んだバイクでなんちゃらみたいな辛気臭いものではなく、必死こいて自転車をこいでいる感じだ。そこにあるのは一所懸命という言葉。一所懸命であることが素晴らしいと、それが輝くことなのだと言い放っている楽曲が清々しい。
 この音は無敵である。ザ・フーが「俺達の世代だ」と叫び、ニルヴァーナが「大人ファック!」と叫んだこととは反対に、この音楽には敵がいないし、敵を作らない。皆が仲間なら「無敵」なわけである。一所懸命、何かを訴え、咲けんでもいるが、それは決して反発ではなく平和的。頑張った末に何かを粉砕するといった類のものではなく、頑張ることが重要だと、結果としてどうなるかは知らないが、何かを目指すことに意義があるというメッセージ。
 走った末に見えるものがあるかどうかは知らん。しかし知ることができないからこそ、先が見えないからこそ、希望であるという言い方もできるわけで「希望」などという安っぽい言葉にズドンとミットに収まる感じで説得力を持たせちゃってる音楽はこれなんじゃないのかなと、そんな気がする。僕はこの音楽から青春を感じるよ。で、走った末に見えたものが、サニーデイ再結成だとしたら、まさに友情的。青春じゃないか。
 初めて聴いた時は素晴らしいと思ったし、数十回聴いた。が、しかし、いま聴き直すと意図的な衝動性や、教科書どおりのロックンロールっぽさがいやに耳について、あざとさのようなものを感じてしまう。


ハレルヤエヴリデイって(笑)

5点 ササキ・タカシ@管理人(25歳・男)

 みっともない。みっともねえよなあ。ちょっと、聞いてくださいよ先輩。俺の大学の時の友達なんすけど、そいつ、まあ学生の時から演劇やってたんですよ、学生演劇。で、卒業と同時に演劇も辞めちゃったんですけど、なんか最近、劇団みたいなの立ち上げたみたいで。この前そいつと飲んでたらいきなり「劇団作った」とか言い出して。「え、じゃあ仕事どうすんだよお前」って聞いたら「いや、別に仕事しながらでも演劇は出来るでしょ」みたいなこと言ってんですよ。はは、どう思います? そんなん両立できるわけないじゃないっすかねえ(笑)。一応、悪いこと言わないから辞めとけ、って忠告をね、してあげたわけですけどね。なんだかなあ。そう言えばそいつ、学生の時からちょっと現実見えてないことばっか言うやつでしたよ。今が楽しければいい! みたいな(笑)。
 っていうかねえ、そいつだけじゃないんですよね、俺の同期の連中、みんなそういうやつばっかりなんすよ。酷いのはねえ、そいつは大学の友達じゃなくて高校の時のクラスメートなんですけど、20代半ばにしてバンドやり始めたやつがいるんですよ(笑)。いや、そいつも普通にサラリーマンやってるんですよ? それどころか、もう結婚して子供もいるんですよ。いくつだったっけなあ、もう幼稚園とか行ってんじゃないのかな子供は。それなのに、それなのにですよ? いきなり、バンドとか、やってんですよ(笑)。なんすかねえ、昔は結構真面目だったんですけどねえそいつ。え? いやいや、全くの初めてですよバンドなんて。音楽は好きだったみたいですけど、聴く専門。俺やたらそいつにスマパン薦められたなあ。なんかね、突然メールがきてですね、「バンド始めた。今度ライブやるから見にきて」って(笑)。びっくりしましたよ~。久しぶりのメールでそれか? って(笑)。それでまあ地元のライブハウスでやるっていうから見にいったんですけど、客の中に高校の時の友達みんないて(笑)。ちょっとした同窓会(笑)。対バンで、そいつのバンドは2番目だったんですけど、そいつ普通に背広にネクタイの衣装でギター抱えながら出てきて(笑)。完全に出オチ(笑)。で、どんな曲やるのかと思ったら、なんと銀杏BOYZのコピー! 「♪あの娘は綾波レイが好き~」とか唄いだして(笑)。めちゃくちゃハイテンションで。普通、銀杏とかやりますかね26歳にもなって。あ、あとあれもやりましたよ、サニーデイ・サービスの、なんでしたっけ、あ、『青春狂走曲』(笑)。もうホントにみっともないんですよ。俺ほんと恥ずかしくて涙出そうになっちゃって。はは。どうしようもないっすよね~。え? あれ? すいません、思い出したらまた泣けてきた(笑)。ちくしょう。なんで世の中あんなバカばっかりなんだ。ちくしょう。ホント悲しくなってくるわー。はは、涙か止まらねえ(笑)。もうね、バンドとか、もはやギャグですよギャグ。笑い話にしかなんないっすよね。ねえ、ちょっと、先輩、ちゃんと聞いてます? ちょっとぉ、先輩、飲みすぎですよ。ほろほら、ここで寝ちゃダメですって(笑)。はは、もうしょうがねえな~。


曲名を見てハニカミ、曲を聴いてホッホッホ

8点 永作佳紀(23歳・男) →創作集団 Ditto

 ありがとう、ありがとう。こんな作品に出会えてありがとう。
 ボクは演劇をしているのですが「もの(演劇)」を作るときに「なんでもあり」な感じが出せたらいいなぁといつも思っているんですけど、なかなか「なんでもあり」感って漠然としていてちゃんと風呂敷を広げないと結局こじんまりしてしまうことが多いのです。そこで今回のアルバムに出会えたことはボクにとっては事件ですよ! ボクのやっていることの「なんでもあり」感は小っちゃいものに思えて仕方がなかった。こんなやり方があったのかーって関心しながらワクワクしながら何回も聴いたよー。
 おじさんが魔法のバスに乗っちゃたり、天使がいないかなって言ったり、なんかさわやかな結婚を歌い上げたり、世の中のおじさんはこんなことしないよな。でもねらっている感じもあって、チワワなんて歌いだしたときには作りすぎやろ!って突っ込みをいれたくなるけど、ねらって外したかわいさがおじさんのご愛嬌か。
 さっきからおじさんおじさんって言ってるけど、上から目線だね。距離をとってるね。いやぁ負けてられない。


チクリと優しいロックンロール

8点 まさゆき(25歳・男) →非社会人的会社員が音楽なんかを語る

聴いた事ないから大きな口では言えないけど、再結成したサニーデイ・サービスには今のところ興味ないんですよね。一枚でもアルバム聴いたらどうなるか分からないけど、先週のお題だった『Love Album』とかツタヤで見つけたけど、代わりにゆらゆら帝国のアルバムを借りちゃったし。だから、サニーデイ・サービスを再解散して、曽我部恵一BANDにのみ力を入れて欲しいです。だって、サニーデイ・サービスも彼のソロも聴いた事のない僕にとって、これは全くの新人バンドなんですもん。

で、本題ですが、本拠地ブログでも特に何も書かずに上半期ベストの1位を獲得しているため、人様のブログに投稿している場合ではないのですが、改めて聴いたけど、やっぱり良いアルバムだと思いました。このアルバムは、各曲の点と点を繋ぐ線は見えてこないけど、それぞれ別の土地で育ち、それぞれ別の場所で暮らしている点が、それぞれの価値観や人生観に基づき、それぞれの色で、それぞれが自分で書いた線を、曽我部恵一って人が描き、それを『キラキラ!』と命名した、ちょっと良い話だけど、ちょっとだけチクリとする“10”の短編集。ん?

試聴の段階でM1「天使」を聴いた時は、「ヤバイ!これは大名盤かもしれん」と思ったが、決してそうではなかった。名盤とか言うよりも、近所にいるお兄さんが歌ってくれた歌に不意に感動してしまったかのような親近感がある。個人的には「チワワちゃん」がベスト・トラック(笑)。だって可愛いじゃんよ。チワワに手紙を書く娘が大きくなったら可愛くなくなってしまうのを、「そんなのぼくはいやだ」とか歌う親バカっぷりが、なんとも微笑ましい。それに羨ましい。将来、子供が出来たらこんな人生も良いよなって思った。

でも、僕が悩んでしまうのは、1曲目に「天使」があって、最後に「魔法のバスに乗って」がある事。それぞれの線が線を激励するかの様に添えられる、「青春狂走曲」でアルバムが終わっていない事。「魔法のバス」ってなに?何で乗るの?何処に行くの?そんな漠然とした疑問を聴き終えた後に思ってしまう。この2曲が最重要曲である事だけは聴き取れるのだが、なんとも表現しにくい「なにか」を残したままアルバムは始まり、「なにか」を残したままアルバムは終わる。


参考ブログ

毎日が夏休み!: 「キラキラ!」曽我部恵一BAND

非社会人的会社員が音楽なんかを語る:キラキラ! - livedoor Blog(ブログ)

放蕩息子の迷走 曽我部恵一BAND『キラキラ』

Blogs Like Teen Spirit 2 ~現役理系大学生が語る、ポピュラー・ミュージックの過去と未来~:【序章】今こそ振り返ろう、邦楽ポピュラーこの10年。 (曽我部恵一BAND) - livedoor Blog(ブログ)

Rock ? Stock ? Nonsense !!:曽我部恵一BAND - livedoor Blog(ブログ)

ゆういちの音楽研究所: 仲間内で楽しそうなんだけども。

「キラキラ!」曽我部恵一BAND|君、ちょっとCD棚の整理を手伝ってくれないか。(仮)

キラキラ/曽我部恵一BAND - リッスン・トゥ・ハー

すばらしくてNICE CHOICE | 曽我部恵一BAND『キラキラ!』

日々、音楽ざんまい。 曽我部恵一BAND 『キラキラ!』


曽我部恵一BAND「魔法のバスに乗って」PV





今回の選盤理由(ササキ・タカシ@管理人)

・本当は先週レビューするつもりだったんですけどね。

・8月8日にライブ盤『トキメキLIVE!』が発売したので、そのタイミングで。



次回(8月24日更新)のレビューは、
Bright Eyes『LIFTED or The Story is in the Soil,Keep Your Ear to the Ground』です。

テーマ:邦楽CDレビュー - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/18(月) 00:39:03|
  2. レビュー
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:3

【レビュー】 サニーデイ・サービス『LOVE ALBUM』

今回のレビューは、2000年に解散し、近日再結成するサニーデイ・サービスが解散直前にリリースしたアルバム『LOVE ALBUM』です。


LOVE ALBUMLOVE ALBUM
(2000/09/20)
サニーデイ・サービス

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愛、だよね

8点 タカシ(28歳・男) →Rock ? Stock ? Nonsense !!

 なんて素晴らしい音楽なんだろうと呟いてしまった。僕はサニーデイに思い入れは全くないし、熱心に聴いているわけでもないのだけど、こんなにも心情を雄弁に語る音楽は中々ないんじゃないか。僕という奴は歌詞を読まないリスナーなので、歌詞については何も言えないけど、そう思う。全ての音がやさしくて、柔らかい。ファンクもジャズも、ソウルもカントリー・フォークも飲み込み、巧妙に作り上げられた音楽なのに、音楽的知識をひけらかしているところは皆無で、音楽性は高いのに部屋着でなんとなく聴いてもいいような人懐っこい空気がアルバム全体を覆っている。それがなんだか嬉しくて楽しくて瑞々しくて、本作が放つ光を僕にまでわけてもらった気がして気持ちがいい。
 曽我部の歌声を中心に、豊かな弾力を持ったベース、決して攻撃的にならないギター、軽やかに土を踏んでいるようなパーカッション、打ち込み、それらが抱き合い、歩を進める程度の速さでメロディが流れていくさまは、安堵という言葉がふさわしく、都会の金属の匂いをさえぎって、生まれたばかりの暖かい空気の中にいるような気持ちになる。それは曽我部という男の人間性すら感じさせるほどで、音に気持ちが宿っていて、音を通して気持ちが伝わってくる。
 きっと彼にとって音楽は、前衛性を追う、だとか、先端的であるべきだ、とか、そういうことではなくて、あくまでも自己表現手段なんだと思う。本当に様々な音楽要素が詰っている音楽ではあるけれど、その音楽要素に振り回されることなく、知識をひけらかすでもなく、純粋に音楽を楽しむっていう感覚がある。それは物凄く単純で、ともすれば安易なんだけど、単純だからこそ、どこにも反射せず真っ直ぐ音が届いて、染み込んでくる素直な音楽だよ、これは。情報過多なご時世、情報に振り回されているように思える音楽が少なからずあるけれど、本作は情報を選んで、自分の中で昇華するという「自分」という立ち居地がしっかりしている。曽我部とは、何をやってもアイデンティティの拠りどころが知識ではなく、自分の感性なのだ。難解さなど丸めて窓から投げ捨てて、ただポップであることが素晴らしいと言っているかのような楽曲群が素晴らしい。
 そこからアルバム・タイトルにあるように愛みたいなものを感じちゃうよ僕は。最後の曲なんてまさにザ・バンドみたいなアメリカ音楽。ザ・バンドの音楽にあった芸術家達が集まって、音楽を奏でる喜びを、楽しみを分かち合うっていう、単純なんだけど素晴らしい姿勢を受け継いだ楽曲をラストにもってくるあたりに、「愛」なんて言葉をふわりと思い浮かべてしまうんだな。くさい。くさいね。でも曽我部は臭い言葉に歌詞ではなく音そのもので説得力を持たせる音楽を作ってしまう。それが、彼のマジック。


海に浮かんでいるイカダと人 の ような アルバム・・・

6点 永作佳紀(23歳・男) →創作集団 Ditto

 あれはなんだろう?
 太平洋の海のド真ん中。
 カラッカラに晴れているねぇ。
 夏だな~。
 今がなんで夏なのかというのがわかるかと言いますと、上の空を見ると白くて大きな厚い雲があるからで、そんな夏の太平洋にポカーンとね、何かが浮いている、揺れている。

 もっと近づいてみよう。
 とボクは思った。

 イカダだな。
 人が乗っているな。
 人が日光浴をしながら寝ている。

 それがわかるくらいの距離で眺めていよう。
 とボクは思った。

 夏は暑いなぁ。日光で首筋がヒリヒリする。
 あの日光浴をしている人はなんであんなに気持ち良さそうな表情をしているんだろう?
 不安じゃないのかな? だって太平洋のド真ん中ですよ。生き残れる可能性は低いんじゃないですか?
 でもあの人の姿を見ているとそんなことはどうでもいいと思えてくる。生死のことを考えるのは蛇足だったな。
 ボクはそんなあの人を見ているだけで十分だな。

 ところでそんなあの人を眺めている自分ってどこから見ているんだろう?


甘いよなあ、いろんな意味で。

7点 マサ太郎(22歳・男) →Blogs Like Teen Spirit 2

 どうもお久しぶりです。すっかりサボり癖が付いてしまったので、今回は参加することに意義があると思い、決して暇ではない時間を10分だけ割き、ソッコーで書き上げて来ました(笑)サニーデイ・サービスと僕との個人的な話に関しては、ちょうど本拠地ブログの最新記事に綴ってあるので、暇な人は是非ご覧下さい。その中でキーワードとなっている「はっぴいえんどコンプレックス」に関しては、ちょうど『サニーデイ・サービス』前後辺りから脱し始め、しかしそれを恥ずかしい黒歴史として削除するのではなく、いつでも使える引き出しの一つとして、上手く引っ込ませたように思います。
 それと同時に際立って来た曽我部恵一先生のメロディ・センス、それこそがサニーデイ・サービスというバンドの肝とも言えるでしょう。初期のアルバムを聴くと、彼らの根底にあるのは70年代前半のアメリカン・ロックなのではないかと思っていましたが、それはきっと、初期の彼らが絶対的なアイドルとしていた(であろう)はっぴいえんどが、まさしく日本のモビー・グレイプだったからなのだと思います。その出自は、このアルバムにもやはり息づいています。しかし曽我部恵一先生の面白いところは、その後リスナーとしての自分の興味に身を任せ、何食わぬ顔でジャンル横断し続けて来たことでしょう。
 その引き出しの多さが、このアルバムのムーディな雰囲気(AORすれすれ)から加齢臭を取り除いているようにも、一方ではソングライターのメロディーセンスを殺しているようにも思えます。その辺のもどかしさは、曽我部恵一先生がプロデューサーとして関わった鈴木慶一大先生の最新作、『ヘイト船長とラブ航海士』にも共通して言えることだと思います。その意味で、個人的にはやはり多い引き出しを二つ~三つくらいに絞ったアルバムの方が好きですね。引き出しの多さが導く大作志向という甘い罠、本作はそれにわざと引っかかったアルバムのように思えます。


セックスを肯定しよう

5点 ササキ・タカシ@管理人(25歳・男)

 最近のサニーデイ・サービスの人気にはちょっと驚いてるんですよね。やっぱり曽我部恵一氏の勢力的な活動の賜物なんでしょう。サニーデイが解散した理由って何だったっけ? 元々、曽我部氏のワンマンバンドみたいなものだったらしいしな、バンドでやっていく必要性を見失ってしまったのかなあ。僕の記憶が正しければ、彼らってそんなに惜しまれて解散していったバンドじゃなかったような気がします。思うように売上げを上げれなかったみたいだし、何より、ちょっともう飽きられてた感があった。世紀末という時代には、サニーデイの音楽はちっともリアルじゃなかったのかもしれません。「そっか、もう解散か」程度の雰囲気しか漂ってなかった気がしたな。つまるところ、当時の彼らは“落ち目”だった。確かに、オンリーワンと言えるような音楽性のバンドじゃなかったわけで、はっぴいえんどのエピゴーネンであり、フリッパーズ・ギターのフォロアーだった彼らは、一部のポップ・フリークにしか愛されないバンドだったように思います。僕と言えば、正直言って彼らの音楽はちょっと、苦手でした。エピゴーネンとかフォロアーとか関係なく、当時十代だった僕は単純に、面白みを感じることはできませんでした。
 『LOVE ALBUM』は彼らが解散する2000年に発表された最後のオリジナルアルバムです。どうやらその頃の曽我部氏はテクノやハウス、エレクトロニカに興味を持っていたようで。確か浜崎あゆみのリミックスかなんかもやってましたよね。本作にも全体的に、ブレイク・ビーツなどが導入されてたりします。そのせいでちょっと、当時のファンには反発を食らってたんじゃなかったかなあ。2000年と言えば、『KID A』があり、くるりの『ワンダーフォーゲル』があり、翌年にはスーパーカーの『strobolights』があった。今思うと、そういう時代の空気だったんでしょう。なのに、なんで気付いてあげられなかったんだろう? 変わろうとしていたのかもしれないのになあ。エピゴーネンとかフォロアーとかを飛び越えて、やっとオリジナルを手に入れようとしていた矢先だったのかもしれないのになあ。もし、僕たちが彼らの変化を受け入れることが出来なかったことが解散の原因のひとつであったとしたら、それほど悲しいことはないですよね。そうだよ、今聴けばちゃんと受け止められるじゃないか。パクリだなんて少しも思わないよ。こんなロマンティックなアルバム、他のどこにもない。バブルの残り香も完全に消えうせた20世紀末の時代において、彼らは愛し合うことの素晴らしさを、セックスの喜びを真摯に唄っている。はっぴいえんどやパーフリだって、セックスの喜びをここまで歌にしたことはなかったはずだ。リアリティーがないなんてとんでもない。ただ当時は誰もが不感症の時代であり、僕は本気で人を好きになることの出来ない童貞少年だっただけなんだ。だから、恋愛を経験しセックスの喜びを知った今の僕なら、ちゃんと受け止めることは出来るぜ。もう遅いかもしれないけど、レビューとして言わせてもらいます。良いアルバムだ、本当に。彼らの数ある傑作アルバムの中で、一番“再”評価されるアルバムは、本作なんじゃないかなあって思うのですが、どうでしょ? いやまあ、全てのアルバムを聴いたわけじゃないのでわからないですけどね。
 そうして、世紀末の愛を唄ったサニーデイ・サービスは原因不明のまま消滅し、もう8年の月日が過ぎようとしています。熱心なファンではなかったけど、僕は彼らの存在を忘れません。サニーデイの皆さん、2008年のこの国は、以前にもまして不感症のパラダイスです。人と愛し合うことの欲はどんどん希薄になり、よくわからない事件ばかりが起きています。テレビから流れてくる流行歌は、自己満足でインスタントな幸せを唄ったものばかりになっています。サニーデイの皆さん、僕はあなたたちを忘れません。たとえそれが過去のものだとしても、あなたたちの歌は、愛し合うことのリアルな喜びを、この僕に感じさせ続けてくれているのだから。
 …で、再結成って、え、うそでしょ? じゃあ曽我部恵一BANDとかどうすんの? っていうか何で今のタイミングで? 意味わかんないんだけど。ちょっと素直に喜べないのは僕だけ? 複雑だぜ。新曲とか、作っちゃうのかな? CDとか出しちゃうのかな? だったら今度はもう、とことん売れてくれ。んでもって、今の10代の連中に、セックスの素晴らしさを教えてやってくれ! あいつら、なんか性行為を不純な行為か、快感を得るための行為くらいにしか、思ってないんだぜ。ホント、どうにかしてやってくださいよサニーデイさん。


参考リンク

毎日が夏休み!: サニーデイのラスト・アルバム!「LOVE ALBUM」

LOVE ALBUM/サニーデイサービス - リッスン・トゥ・ハー


sunny day service mahou






今回の選盤理由(ササキ・タカシ@管理人)

・いや、だってねえ、今年のライジング・サン・フェスティバルで、再結成ですってよ。だから良い機会だと思って、つい。

・本当は曽我部恵一BANDの『キラキラ!』をレビューするつもりだったんですけど、いや、だってねえ、いきなり再結成するもんだから、つい。


次回(8月17日更新)のレビューは、
曽我部恵一BAND『キラキラ!』です。

テーマ:邦楽CDレビュー - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/10(日) 23:35:57|
  2. レビュー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:13

【レビュー】 Beck『Modern Guilt』

今回のレビューは8月6日に国内盤がリリースされるBeckの最新作『Modern Guilt』です。


Modern GuiltModern Guilt
(2008/07/08)
Beck

商品詳細を見る



BECK初の入門編。

7点 ウォルラス(21歳・男) →白い薔薇は黒い薔薇 part2

どうも初めまして。いつもコメントさせて頂いてましたが、今回は自分が執筆する側にまわってみました。

僕はBECKにそれほど強い思い入れも無いんですが素晴らしいアーティストだとは理解してます。今回も良いアルバムでまだ聴いたことが無い人がこのアルバムから他のアルバムを聴いても問題ない入門編としてもぴったりなアルバムと感じました。最新作で気持ちいいくらいサイケデリアをかましたGnarls Barkleyのデンジャー・マウスがプロデュースしていたりして今のシーンにもしっかり目が行き届いているなぁと感心したりしています。アルバム自体も10曲で40分にも満たない構成も聴きやすさを後押ししていると思います。

ただ僕としてはこのアルバムが最高傑作とは思えないんです。でも確かにこのアルバムは2008年を代表する作品なんですけどね。
僕みたいに「MIDNIHT VALTURES」のようなキャリアの中でも異端といえるアルバムを好きな身としてはこの及第点を楽に越えてくる洗練されたロックをするBECKはどこか物足りなさを感じてしまうのです。僕はやっぱり色んな音楽を手当たり次第手をつけていくBECKが好きみたいです。否定的になりましたがやっぱり良いアルバムです。自分の中で「これだ!!」と言う曲があればまた違ったんでしょうがそういうのが今回はなかったです。


「ベック、良くも悪くも大人になる」の巻

4点 ササキ・タカシ@管理人(25歳・男)

 ・困ったな。各所で絶賛されている盤なのでいよいよ自分のリスニングセンスが心配になってきたんですけど、僕は全然、前作の『ザ・インフォメーション』の方が好きみたいです。元々ベックさんの熱心なリスナーではなかったし、『オディレイ』のまるで新しい玩具を買い与えられてハシャイでいる子供のような雑多なプロダクションが好きだった身としては、それ以降の特定のスタイルの音楽を自分のセンスで抜け目なく再解釈していた彼にあまり感心することはありませんでした。でも唯一『ザ・インフォメーション』の「ただ面白いと思って作った楽曲を熱が冷めないうちにそのまま突っ込んでパッケージしました」みたいな様が好印象だったんですよ。彼にしては珍しくカラフルな内容だったじゃないですか、あれ。しかして今回の『モダン・ギルト』、良くも悪くも洗練されちゃってると言うか、ちょっとスマート過ぎやしませんかベックさん? みたいな印象があります。
 ・それってつまり、彼自身が「音楽オタクだった僕ですがやっと分別がつく大人になりました」ってことなんですかね? 芸術家の才気と職人気質の両方を合わせ持っていた彼ですが、今回はやたら職人の方に針が振り切れているような。『シー・チェンジ』と『ザ・インフォメーション』を足して2で割って、過剰にエモーショナルな部分と未整理の衝動性を引きました、っていう情報のコントロール具合にはさすがベックさんと言うべきなんでしょうけど、逆にそこらへんを単純に退屈だなって思ってしまう僕はたぶんマイノリティなんでしょうね。整理されてるってことで言えばレディオヘッドの『イン・レインボウズ』に似た雰囲気を持っていると思うんですけど、レディへさんの方はそこまでスタイリッシュにはしてなかったっていうか、感情移入できる程度のみっともなさは残ってたと思うんです。
 ・や、だからと言って出来が悪いかと言えばそんなことは全然なくて、一曲一曲は総じてクオリティは高く全体的なまとまりも良く非常に聴きやすい。そう、聴きやすさで言ったらここ何作の中じゃ一番。何より短いのが、良い。それ故、名盤たる雰囲気を漂わせていると思います。そして今回特筆すべきは、ベックさん初めてロックンローラーになりましたってところ。フォーク、ブルース、カントリーミュージシャン然とした米国の土臭い感じは控え目に、なんともブリティッシュなサイケデリヤを奏でていて、そこはちょっと面白かったところです。スーパー・ファーリー・アリマルズの諸作にも似た良質なサイケ・ロックだと思いました。


これからもボーっと聴いていくんだろな。

5点 永作佳紀(23歳・男) →創作集団 Ditto

 最近は音楽を聴いていないからな~。
 暑くて頭の中がボーっとして音楽が聴けないなぁ。
 っていうかロックを聴きたいと思わないようなのです。
 さて今回はベックさんなのですが、そんなわけで聴くぞ!って思わなくては聴けなかった。聴いてみると、やっぱり楽しく聴けるんですけど、ダルさを吹き飛ばしてくれることはなかった。普通にいい曲なんよなぁ。だから今回のベックのアルバムに感情移入しようと思ったらいくらでもできたと思う。だっていい曲だからね。でも今までしてきたように感情移入をして自分から何かと結びつけようとはしなかった。ただ聴いているだけ。何にも考えずに聴いた、聴けた。そして何も浮かばなかった。ベックを聴いている間は何にも考えなかったなぁと思うと突然、ベックの曲が幸せな曲に思えてくる。だってボクが電車の中でベックを聴いているとき普段より8割増しでアホな顔をしていたと思う。眠たそうな顔でダルそうに。ベックを聴いているときボクは、いろんなことがどうでもよかったんだろうなって思う。だから今、そんな状態だったことを思い出すと幸せな気持ちになるというわけです。
 その幸せな気持ちは映画の『スタンドバイミー』に似ているのかもしれないと思った。ボクははっきり言って『スタンドバイミー』の良さはわからないのだが、その映画の幸せな気分は伝わってくるような感じがする。みんながその映画を好きだという感じ。映画の王道って感じだし、嫌いな理由も見当たらない。その王道の感じが今回のベックのアルバムにも流れていると思う。


参考リンク

ゆういちの音楽研究所: This is ポップソング

Rock ? Stock ? Nonsense !!:beck - livedoor Blog(ブログ)

latxtal diary 好き

俺のCD棚にあるCDを着々とボチボチと記載していくblog: Beck (2)

KID A + DのROCK数珠繋ぎ:BECK / MODERN GUILT - livedoor Blog(ブログ)
KID A + DのROCK数珠繋ぎ:BECK / MODERN GUILT 後半 - livedoor Blog(ブログ)


Beck - Modern Guilt Promo


Beck - Video for Gamma Ray - Modern Guilt - 2008





今回の選盤理由(ササキ・タカシ@管理人)

・いやー、ベックさん、前々からやろうやろうと思ってて、ちょうど良いタイミングで新譜をリリースしてくれたものだから。

・各メディアがこぞって「最高傑作!」とおっしゃってましたので。


次回(8月10日更新)のレビューは、
サニーデイ・サービス『LOVE ALBUM』です。

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/03(日) 23:15:53|
  2. レビュー
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:15

【レビュー】 安室奈美恵『Queen of Hip-Pop』

今回のレビューは、安室奈美恵が2005年にリリースしたアルバム『Queen of Hip-Pop』です。


Queen of Hip-PopQueen of Hip-Pop
(2005/07/13)
安室奈美恵Nao’ymt

商品詳細を見る



真打の登場です

7点 ササキ・タカシ@管理人(25歳・男)

 こればっかりはちょっと本気で文句を言いたいんだけどね、どうして日本のR&B、和製R&Bの女性シンガーの歌っていうのはさ、ああ歌詞が受け身なのばっかりなんだろうね?っていう、さ。 「私はあなたを想っています」とか「あなたといるだけで幸せです」とか「あなたに想いが通じなくて悲しいです」とかって、世界観がまるで演歌と変わんないじゃん? なんか、いかにも男の存在を中心とした“つくす女”な歌詞ばっかりでしょ、愛は男から授かるものだっていうのが前提の歌詞。 だからどんなにバックトラックが良くてもそういうのだったりするとちょっと萎えるっていうかさ、「いや、俺ら別にそんな一途な女性像を求めてねえよ」って思っちゃってまともに曲が聴けないわけ。で、しかも、なんか知らんけどそういう曲の方が現実問題、世の女性たちにはウケちゃったりするわけじゃない? それが意味わかんないんだよなー。みんなそんなに“つくす恋愛”をしたいのかね? 俺が女だったら、もっとフェアな恋愛観の歌詞に感情移入するけどなあ。だから、俺あんまり聴けねえんだわ、J-POPの女性シンガーの曲。ごめんね、オタクっぽいロックした聴かないんだ普段。女の子が聴いてるような音楽に詳しくなくて、ホントごめん。…え、安室? え、ちょ、ちょっと待って、安室、安室ね、安室ちゃんは別、別! 安室ちゃんは例外だよ! 聴く聴く、すげえ聴くもん俺、安室ちゃんのアルバム。いや、もう最高にカッコ良いでしょ。一度落ち目になった人が再びオリコン1位になるって、どんだけ凄いんだよ!ってね。 まあね、そりゃそうですよね。だって単純に、曲が良いもん。日本で安室ちゃんだけじゃん、USメインストリームなR&B/HIP-HOPを歌謡曲として成立させてるのは。PVとか見た? もう、ガンガン攻め(笑)。俺、勃起しそうになっちゃった(笑)。マジで。アルバムで言ったら、そうだなあ、…やっぱ『Queen of Hip-Pop』かなあ。ま、正直、安室ちゃんはその前後の作品、『Style』も『Play』も、あとSUITE CHIC名義のやつも超がつくほどの名盤なんだけどね。ただほら、SUITE CHICのはまだちょっと「やらされてる感」が出ちゃってるし、『Style』はちょっとイナタイ部分が残っちゃってて。逆に『Play』はちょっとコスプレ着ちゃってる感じがするし、やっぱりポップとエッジのバランスが良い按配で出来てるのは『Queen of Hip-Pop』だねえ。だって『Queen of Hip-Pop』だよ? ヒップ・ポップの女王って、なんだそりゃ(笑)。歌姫はたくさんいるけど、女王は一人しかいない、ってことでしょ? そんなのカッコよすぎるわ。もう安室ちゃんのせいで他の歌姫が全員霞んじまうよ。安室ちゃんを前にしたらビヨンセなんて外国人ストリップバーのストリップ嬢だし、倖田來未なんか上野のキャバクラで働いてるキャバ嬢ですよ。あ、俺、酔ってきちゃったかも(笑)。君はR&Bとか聴くの? え、俺? 全然。R&BもHIP-HOPも全然苦手だよ、俺は。聴かない聴かない。…え、じゃあどうして安室ちゃんは聴くのかって? いや、だってもう安室奈美恵って存在には、R&BとかHIP-HOPとかロックとかポップスとか、ジャンルなんて概念は完全に無意味だと思わない? 『安室奈美恵』っていう名のエンターテイメントの女王様なんですよ、彼女はね。


ニッポンを侮るなかれ

4点 タカシ(28歳・男) →Rock ? Stock ? Nonsense !!

 まずエロい。なにがって、歌声がエロい。色気を武器にするアーティストは国内外問わず多くいるが、彼女のそれは他のそれとは違うのだ。たとえば倖田來未が「エロカッコイイ」を提唱しているにもかかわらず音楽は全然エロくもカッコよくもないのとは反対に、安室奈美恵には無意識に自然と滲み出てしまう類の色気がある。しかしそれでいて単に下世話、とは違う。誰かに媚びることの一切が見当たらず、我が道を行くと言わんばかりの歌声には艶がありつつも「威風堂々」という言葉がバチコンはまる。
 いや、そもそも音楽自体が媚びてないんである。「いま」で言うところのR&Bに歌謡曲のフレーズを散りばめ、古代尺八を思わせる音やテクノの音色、さらには東南アジアのガムランの音色すら取り入れた音楽性は、異文化を貪欲に吸収することによって成り立つ現代日本文化的な雑食感覚。音の配置や音質の作り方もまさに日本的。メロディ・ラインもどことなく「和」を感じさせ、味がある。
 パクリと言われても仕方がないほど洋楽の模倣を意識した音楽を作るアーティストが少なからずいるこの国にあって「欧米音楽をただ単に模倣することを、頑なに拒む姿勢」、それに積極的に自覚的なところが窺え、その姿勢もまた威風堂々で「なに、文句あんの?」なんて言葉のひとつも聞こえてきそうだ。
 つまりはJ-ポップというフィールドのど真ん中にいながらにしてどこにも媚びてない。むしろアウトサイダー。でもポップ。音の中を縦横無尽に、ときにしんなりと、エロティックな、しかし高らかな歌声が踊るさまが、なんとも、いいじゃないか。という具合にグッとくる。
 加えるに、王制なんて存在しないここ日本で「女王」と名乗ってしまう悪ノリ極まれりな思い切りの良さ。といっても、このある種日本的な音楽の中にいる安室奈美恵の「女王」は、たとえるなら、欧米のそれではなく和服着用。どちらかといえば、やんちゃな邪馬台国の女王「卑弥呼」的。そんな彼女が海外に乗り込んで華麗に踊っている感じ。おてんばに、かつ、大胆に。エキゾチックに。そこに色気があるもんだから、こんな女王になら従えてもいいけどな、俺は。なんて思えてくる。いや、そういう趣味はないんだが。
 安室奈美恵といえばスーパー・モンキーズとかいうグループのひとりだったよね、という認識しかなく、今回、初めて彼女の作品を聴いた俺。中々いいじゃないか、他の作品も聴いてみようかしら、という感じなのだが、少し残念に思ったのは、過剰にプロデューサーの色が出ているな、ということであった。いや、悪くはないし、良いといえば良いのだが、物凄く良い、とは言い難い。過度に装飾されたサウンド構築という檻の中に入れられるほど、安室奈美恵は小さくないんじゃないか、と思ってしまうわけである。でも、この色気は癖になる。って、結局そっちにいくのか俺は。


安室奈美恵さん、お久しぶりです。

1点 永作佳紀(23歳・男) →創作集団 Ditto

 安室ちゃん聴けなかった。どうも、なんでか聴けなかった。っていうか聴こうとしなかった。邦楽なんてダッセーよ! みたいな感じもあったし、洋楽を真似たような音楽なんか聴けるか! って思っている自分が恥ずかしくて・・・。そうなのである、安室ちゃんを聞く前にそんな先入観があったために聴けなかったのである。
 これはどうしたものか。こんな気分になるのは初めてなのです。他のアーティストではこんな先入観はないのです。
ボクが安室ちゃんを聴いていたのは『キャン・ユー・セレブレイト』ぐらいまででそれから全く聴いていませんでした。そのときはボクにとってはかっこよくて、かわいくて歌も良いし、ってな具合でスーパースターみたいな感じだったのです。好きだったなぁ安室ちゃん・・・みたいな、安室ちゃんのノスタルジーにひたっているだけで十分な感じがありました。だから最近の安室ちゃんの曲にも興味もなかったし、本人にも興味がありませんでした。
 こんな風に自分の文章を読んでいるとなんか気持ち悪い感じがしてきたのでユーチューブで安室ちゃんを見てみました。
 あぁごめんなさい。かっこいい。ボクの気持ち悪いノスタルジーの記憶なんかより断然光っとる。
 安室さんに久しぶりに会った感じです。
 ゆっくり聴いて行こっと。


参考リンク

PONY♂ ENTERTAINMENT INC. 安室奈美恵 「Queen of Hip-Pop」

(ΘωΘ) meryland(ΘωΘ)  Queen of Hip-Pop ♪安室奈美恵

安室奈美恵「Queen of Hip-Pop」(05年)~もう最高ですッッ!~|hirocksの、Happy Life & Free Music

安室奈美恵「Queen Of Hip-Pop」 : 小心者の杖日記






今回の選盤理由(ササキ・タカシ@管理人)

・7月30日にベストアルバム『BEST FICTION』がリリースされるので。

・彼女のアルバムの中から本作を選んだ理由は、ササキの記事中に書いてある通りです。

・メインストリームで安室奈美恵より面白いことをやってるロック・ミュージシャンなんて、現状、いないですよね。


次回(8月3日更新)のレビューは、
Beck『Modern Guilt』です。

テーマ:邦楽CDレビュー - ジャンル:音楽

  1. 2008/07/28(月) 02:39:12|
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【レビュー】 My Chemical Romance『The Black Parade』

今回のレビューは、米国のバンド、マイ・ケミカル・ロマンスが2006年にリリースしたアルバム『ザ・ブラック・パレード』です。


The Black ParadeThe Black Parade
(2007/01/02)
My Chemical Romance

商品詳細を見る



ジギー・スターダストになることを恐れちゃいけない

5点 ササキ・タカシ@管理人(25歳・男)

 心電図の音から始まり、デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』の“5 Years”みたいな導入部から一気にサビでピンク・フロイド『ザ・ウォール』の“In The Flash”へ。僕は少なからず驚いたんですよね。それまでアニソンみたいなポップなメロディにのせて「僕は大丈夫なんかじゃない!」と絶叫していた単なるエモ・バンドが、いきなりのコンセプト・アルバム。しかもテーマは「死」だってさ。おいおい、君ら一体どうしたんだ? メジャー2作目にして早くも評論家ウケ狙いで来たのか? なんて、ひねくれた見方も少ししちゃったのですけれども、ま、確かに英米のマスコミに対するウケもそれなりに上々だったらしく、この日本ですら普段エモなんて取上げないような著名なライターさんが結構好意的に褒めてたりもしまして、渋谷陽一氏(日本で最も有名な音楽ライターのおじさんの一人)ですら褒めてましたもんね。そうそう、オールドロックファンの人たちが妙に騒いでたのが面白かった記憶があります。
 や、もう、確かに僕も初めて試聴機で1~2曲目を聴いた時は「名盤の予感!」と興奮に胸を膨らませましたよ。残念ながら3~4曲目でその気持ちはちょっと萎んでいってしまったのですが、表題曲となっている5曲目の“Welcome To The Black Parade”、これ、やっぱり時代を象徴するアンセムになってると思います。
 “ポップ”であることを頑なに表明しようとする姿勢は何よりも素晴らしい。この国でも異例の大ヒットとなり、売上げ的には“ポスト・日本人が大好きな洋楽3大バンド(レッチリ、オアシス、レディへ)”の最右翼と見るむきもありますが、本作はそれに見合うだけのクオリティをもっていると思いますから。
 なんか、欧米では彼らのファンの子が本作に影響されて自殺をした、みたいな事件があって問題になっているらしいですね。僕には理解できません。いや、でも思春期に持っていた「死へのあこがれ」みたいなことで言えば気持ちがわからなくもないな。なんにしろ、本気で死にたいなんて思ったことないからな僕は。ぶっちゃけ本作を聴くよりも、『OKコンピューター』とか聴いてた方がずっと死ねるけどな。希望的なアルバムじゃないですか。生きることへの絶望よりも、彼らの次回作への希望を感じたいですよね。ああ、なんか軽いな僕。でもホントに次回作には期待してるんです。一部の好事家が自分の妄想を具体化させるためだけのオモチャに成り下がってしまったロックを、思いっきり解体、再構築してほしい。マイ・ケミカル・ロマンス、それが出来るのは、コールド・プレイと君たちくらいしか、いない。


まあ、確かにある種の傑作ではある。

7点 マサ太郎(22歳・男) →Blogs Like Teen Spirit 2

 ここだけの話、本拠地ブログでやる予定の「00年代の名盤」という企画に、これを入れてみようかと考えている。皆さんご存知の通り、グリーン・デイ目線から見たパンク観と、クイーン目線から見たロック・オペラを下敷きにし、アルバムの構成法をピンク・フロイドの表層から学び、ビートルズとマリリン・マンソンとエモを並列に解釈することで産まれたこのマイケミという新世代のポップは、自意識の処理に悩むアメリカやイギリスの若者のみならず、日本の若者までをも飲み込んでの大フィーバーとなった。確かに、その下世話なまでのキャッチャーさや、安易な歴史理解に基づくメタボリックなスタイルは、多くのロック・ファンを苛立たせた。が、「話の通じない大人に嫌われることこそがロックの条件だ」みたいな仮説を頑張って引っ張ってくると、完全にゴミ扱いな先のリバティーンズやこのマイ・ケミカル・ロマンスというのは、00年代のロックを語る上ではどうしても外せない。

 もちろん、たったそれだけのことでこのアルバムを肯定的に聴いている訳ではない。ただ、陶酔的ですらある自己憐憫が背後に横たわるアルバムのストーリーが、日本にも少なからず生息しているであろうリスト・カット系の若者に届いている事実は、果たして一方的に否定してしまって良いのだろうか?と俺は思う訳である。で、それがどんなストーリーかと言うと、早い話が不安定な自意識を大事そうに抱え、「生きるのが怖い」と泣いていた少年たちが、最後の逃避場所である「死」に向かうパレードの途中、進めば進むほど薄れていく「君」の感覚に絶望し、「やっぱり死ぬ方が怖いわ」と悟って再び人生に立ち向かう、と。まあそれだけなんだけど。また、これは参考までにだが、かつてボブ・マーリーは「ただ嘆くこと」から自身の音楽が始まったと言ったそうだが、現世にアジャスト仕切れないところから始まっているという意味においては、ドラッグ片手に理想郷を目指したリバティーンズとも大きな差はないのだよ。ま、典型的な十代の青春ストーリーでしょうな。


ああバカになる。アホになる。

5点 永作佳紀(23歳・男) →創作集団 Ditto

 これは本当の話である。今週はウォークマンに「マイ・ケミカル・ロマンス」を入れて聴いていました。なにも考えずに楽しくて、思わず聴いてしまうんだな。
そして昨日の18日の金曜日にボクはウォークマンを無くしてしまったのです。どこを探してもなくてなくて、ショックで気が落ちていました。だから今日の休日はウォークマンを探しに昨日の通った道を歩いていました。「あるわけないよな」と思いながら、頭の中には「マイケミ」の曲が流れては、「マイケミを聴いていたから無くしたんだな」と思いながら理不尽に腹を立てていました。無償にマイケミに腹が立つのです。
 昨日行った図書館に行きました。そして図書館の方に聞いたらボクのウォークマンがありました。やっぱりかぁ、よかったなぁと安心しました。若い20代前半の男性の方がボクのウォークマンを持って来てくれました。その男性の方が「マイ・ケミカル・ロマンスを聴かれるんですね」と言い出しました。勝手にウォークマンの中身を見られたみたいで、図書館の人がそんなことしていいのか? と思いましたがウォークマンが見つかったことがうれしくてその出来事を流してしまいました。ボクは男性の方に「はい」と答えました。すると男性は「僕もマイ・ケミカル・ロマンス好きなんですよね」と言い出しました。「実はボクはあまりマイ・ケミカル・ロマンスのこと知らないんですよね」とボクは言いました。男性は目が輝きだして「そうなんですかぁ。いいんですよ。是非他のアルバムも聴いてください。図書館に入っていますから」と言って渋々仕事に戻って行きました。まさか図書館の人が勝手にウォークマンの中身を見ては、仕事中に自分の趣味の話をし出すなんて思ってもみなくてしばらく放心状態でした。変な人でした。今風のかっこいい感じの人でした。
 マイ・ケミカル・ロマンスを聴いていると楽しいだけじゃなくて変なことが起きそうな気分にさせてくれます。なんかオタクっぽい変なことが起きそう。


チラリズムの極意ここにあり

2点 タカシ(28歳・男) →Rock ? Stock ? Nonsense !!

 どうしよう。全然好きじゃないし良いとも思えない・・・。なもんでこの点数。にしても、そもそもロックをほとんど聴かない俺がなにを書く。いやでもさ、だからといって、ツンとした顔でスルーしてしまうのは勿体ないわけですよ。そんなこんなでつらつら書かせて頂きます。ヨロシク。
 しっかし、なんだ、この作品の不良感は。「衝動」すら音楽性になってしまったポピュラー・ミュージックにおいて、まさにこのバンドは「衝動」を『音楽的記号』として確信犯的に使っているんじゃないか、そう思えてならないんである。それって中々面白く、加えて不良性を出しているもんだから、なおさらだ。
 不良性って結構重要なファクターでもあって、テクノ/エレクトロニカの世界で言えばアンディ・ウェザオール、ちょいと昔のジャズで言えばほとんどのアーティストがそれを押し出しているんだが、マイ・ケミカル・ロマンスの場合なんだか違う。それはたとえば音楽性やキャラクター性は異なるものの、E・YAZAWAこと永ちゃんが、時折見せる衝動、不良っぽさを、あくまで「演出」として見せるのと同種のもので、実のところ、キミ、結構、真面目でしょ? という感じだ。
 実際、音楽自体はかなり真面目だ。たぶん、メロコアと呼べる音楽だと思うのだけど、メロディはおとなしいし、歌声にも渋味があり、様々なジャンルの融合にも成功している。涼しげな風に似たギター・サウンドがビュンと胸を突き抜ける。いやあ、清々しい。なんというか、上手い、って感じがある。でも曲の合間に「わーお」と裏声が入っているかと思えばシャウトしたり、へヴィなギター・リフが入っていたりと、つまりは「衝動を思わせる要素」を取って付けたかのように、とまでは言わないが、まぶしているのである。それが不良っぽさをも醸し出しているのだが、ただ、あくまで「っぽさ」であって、それはさながら優等生のガクランの第一ボタン、それを外した時に見えちゃった真っ赤なTシャツみたいもんで、すいません、不謹慎にも笑ってしまった。
 さらには過度に大仰とも言えるドラマチックな展開が拍車をかける。しんなりとした、またはゆったりとした、そしてスピードに乗ったロック・ナンバーが散りばめられ、盛り上がり、その半数はアクセル、アクセル、ノンブレーキ。そんな、たぶん意図して自意識のバロメーター振り切っちゃってる楽曲は、どことなく青春的で勢いもある。が、やっぱり音楽性も音質も音響処理すらもきっちりまとまっていて優等生なんだな。
 このバンドのことを全く知らず、この手の音に対する免疫もなければ、マイ・ケミカル・ロマンスがどこの国のバンドなのか知らん僕(たぶんアメリカだと思うけど違ってたら申し訳ない)が言うのもなんではあるが、このどこまでいっても優等生な音がマイ・ケミカル・ロマンスの特徴として受け取らせて頂いた次第である。「死」をテーマにしているらしいけど、僕はそれを感じなかった。むしろテーマ性より、本作が持つ人間臭さが楽しかった。高校生が突っ走っている様子が目に浮かぶ。ただし、上履のかかとを意図して踏んづけながら。そんなチラリと見える不良感。たまらん。


さらば!ブラック・パレード

7点 まさゆき(25歳・男) →非社会人的会社員が音楽なんかを語る

ロッキング・オン8月号の表紙に「マイケミ、ついにブラック・パレード終焉!」の文字。なんだか懐かしい気持ちになった。本作のリリースは2006年12月なのだから、さほど古いアルバムという訳でもなかろうに。そんな気持ちになってしまうだけ、旧譜新譜を問わずに色々なロックを聴き、年を重ねてきた証拠であり、マイ・ケミカル・ロマンスに対して興味を惹かれなかった事でもあるのでしょう。

マイケミは本作しか聴いた事がないし、特に興味もないので旧譜を聴く気もないのですが、好きでも嫌いでもないですね。う~ん・・・でも、ファンの方の感情を逆なでする気はないけど正直に言うと苦手ですかね。「メタルっぽいから」だとか、「クイーンに影響を受けている」とかそんな事よりも、ロッキング・オンが云うところの「1曲1曲が優れた00年代ロック・ソングとして成り立つ驚異の完成度を誇り」に対して、「それはないな」と苦言を呈したくなるだけ、特に物語の後編における1曲1曲が壮大なくせに印象度は薄い。確かに、タイトル・トラックをはじめ幾つかの楽曲では普通に名曲とか呼びたくなる瞬間も訪れるには訪れるが、それを00年代の代名詞として後世に紹介できるかどうかは大いに疑問。

まあ、個人的にジャケットのアートワークが好みでないとか、あのコスチュームが気持ち悪いとか色々あるんだけど、否定だけをする事も出来ないのも本音。リリース当時は結構話題になったアルバムだと思うし、詳しい数は知らないけどセールス的にも好調だったはずでしょ。売れた音楽が良い音楽とか売れなかった音楽が良くない音楽とか、そういうどうでもいい話じゃなくて、同年リリースされたアークティック・モンキーズのファーストとか、あるいはTVなんかに馴染めなかった人間の音楽であればいいと思う。その内の一人に入っていない僕にとって、死を見つめる事によって生を実感して行く物語が滑稽でもあり、詐欺紛いでもあり、しかし少しだけ感動的でもある。ただ、僕がここに戻って来る事はないだろう。さらば!ブラック・パレード。


参考リンク

No use for a title-音楽雑感記録-:ブラック・パレードへようこそ! - livedoor Blog(ブログ)

Over The Border Famous Last Words

Another Side of MANU.: My Chemical Romance「The Black Parade」

そうずら。 : MY CHEMICAL ROMANCE / THE BLACK PARADE
そうずら。 : MY CHEMICAL ROMANCE / THE BLACK PARADE <日本盤>

Deep Impact The Black Parade / My Chemical Romance

rocketRecords | My Chemical Romance「The Black Parade」

ひながつ | My Chemical Romance「The Black Parade」

まい・ふぇいばりっと・あるばむ:マイ・ケミカル・ロマンス - livedoor Blog(ブログ)

MUSIC & MUSIC:53. My Chemical Romance 『The Black Parade』 (41) - おすすめ洋楽CDレビュー From 札幌

Love Buzz My Chemical Romance/The Black Parade


The Black Parade - My Chemical Romance


I Don't Love You - My Chemical Romance


My Chemical Romance - Cancer


My Chemical Romance - Teenagers


My Chemical Romance - Famous Last Words





今回の選盤理由(ササキ・タカシ@管理人)

・7月23日に本作を中心としたライブ・ツアーの模様を収めたDVD『ザ・ブラック・パレード・イズ・デッド!』が発売されるらしいので、弔いということで、ひとつ。

・おそらく、2000年代後半のロック・アルバムの中で一番「ポップ」なアルバムになると思うんですよね。

・本作も結構、知名度のわりには客観的な視点で語られることが少ないアルバムだと思ってたんですよね。


次回(7月27日更新)のレビューは、
安室奈美恵『Queen of Hip-Pop』です。

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

  1. 2008/07/22(火) 00:39:03|
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【レビュー】 The Avalanches『Since I Left You』

今回のレビューは、オーストラリアのバンド、ザ・アバランチーズが2001年にリリースした1stアルバム『シンス・アイ・レフト・ユー』です。


Since I Left YouSince I Left You
(2004/07/13)
The Avalanches

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初めての興奮

9点 永作佳紀(23歳・男) →創作集団 Ditto

 最近はウォークマンで音楽を聴くことに抵抗を覚えていました。ウォークマンがあると常に音楽が聴けてね。会社への通勤時間が楽しいしね。テンションが下がっているときには音楽に助けてもらってね。そんな具合でウォークマンを常に耳にしながら歩くのが当たり前になっていました。
その一方でウォークマンを耳にしていると外の音が聴こえ辛くなりました。生活の音が聴こえなくなって音楽が常にあって、目に映る景色が違って見えるようになりました。「やっぱり音って目に映る景色を変えるんだ」と思っていました。そう思ってからウォークマンで音楽を聴くのが退屈になったのです。たくさんの音楽を聴きたいと思っていて、音楽はやっぱりおもしろく感じるのですが、音楽を聴くモチベーションが下がってきていたのです。そしてウォークマンを外して通勤をしたとき、聴こえてくる生活の音に大興奮してしてしまったことも理由やね。いろんな音が聴こえてくるのよ。通る道によって聴こえてくる音が違うのよ。それがおもしろくておもしろくて。ウォークマンをしながら歩くのがもったいなくなってしまいました。でもウォークマンで音楽を聴かなかったら音楽を聴く量が断然少なくなります。それも残念なのです。最近は音楽を聴くより環境の音を聴くほうがおもしろかったのです。
そこで今回の課題のアバランチーズですよ。万歳! 大興奮しました。生活の音に興奮したときとはまた違う興奮。やっぱり音楽ってすごいなぁと思わせてくれたのです。もう、なんでもあり感が漂ってきて、予想のつかないリズムだったり音だったりで楽しくて楽しくて。良い映画を観終わったときの疲れた感じも心地良くて、音楽でこんな感じになれたのは初めてでした。一期一会の生活の音に出会う感じのアバランチーズの音楽。ああやっぱり音楽ってすげぇや。アバランチーズすごいや。


思い出がいっぱい

5点 ササキ・タカシ(25歳・男)

 初めて聴いた時、「ああ、なんで今までこんな素晴らしい音楽を敬遠していたんだろう」って後悔したんですよ。ジ・アヴァランチーズ。この2008年の世の中で一体どのくらいのリスナーが彼らのことを憶えてるんでしょうね。発売当時はかなり話題になってたらしく欧米のみならずここ日本でもそれなりの評価を得ていたみたいで、ミュージック・マガジン誌の年間ベストのロック[イギリス/オーストラリア]部門で第5位、スヌーザー誌の年間ベストで第4位、手元に資料がないのでわからないんですけど確かBUZZ誌やクロス・ビート誌でも年間ベストにもランクインしていたと思います。でも、僕が初めて聴いたのは一昨年の夏でして、そうですね、ちょうど今みたいな暑さのピークが来る前の時期ですね、youtubeでタイトル・トラックの“Since I Left You”の素晴らしいPVを見てえらく感動したんですよ。それで本作を毎日のように聴いたんだよなあ。それからは昨年の夏も、今年の夏も、気温が25度を超える頃にふと“Since I Left You”のメロディが頭によぎるんですよね。
 僕が発売当時2001年に本作を敬遠していた理由は明白で、本作が「900以上のサンプリングソースのみで構成されたアルバム」って触込みだったからなんです。まだ10代だった僕にはそれがどんなもんなのか想像できなかったし、何よりそんなもんが面白いだなんて少しも思えなかった。ま、仕方がないよな当時の僕。お前はJ-POPとギター・ロックしか聴いてなかったしな。それどころか、クラブ・ミュージックとかヒップ・ホップにほんのり嫌悪感を抱いてたしな。いやあ、若かったなあ、当時のお前は。お前にも聴かせてやりたいぜ、夏の思い出が万華鏡のようにきらめくこのアルバムを。
 オーストラリアのメルボルン出身の6人組ジ・アヴァランチーズのデビューアルバムである本作は、無理矢理ジャンルで括ればブレイク・ビーツかなと言える音で出来たパーティ・アルバムです。前述したように既成のサンプリングソースのみを使って全18トラック、ノンストップで切れ間のない、アルバム全体で一曲とも言えるようなコンセプトアルバムとなっています。サンプリングされているのはマドンナやデ・ラ・ソウルとからしいですけど、残念ながら僕には元ネタがひとつもわからなかった。でも凄いことですよね。サンプリングのみで曲を作るだなんて、許可取るだけでもかなりの苦労だろうに。二次使用にうるさそうなあのマドンナが、曲を聴いたその場でサンプリングの許諾を一発OKしたっていう逸話があるらしいです。ちょっと感動。
 ブレイク・ビーツといってもゴリゴリとしたものではなく、まるでソフト・ロックのような優しくてちょっぴりサイケな感触。初夏の空気を吸い込んだ時の躍動感と、夏の終りに感じる切なさのが入り交じった懐かしきフィーリング。そう、多分、これは記憶の音楽なのです。サンプリングされているの単なる音ではなく、それにまつわる思いや記憶の断片。新しい世界の船出を思わせるような展開から感じるのは、人間が有史の中で繰り返してきた夏の日の出会いと別れ。
 なんてポジティブで革新的な音楽なんだろう。本作に続くようなポップ・ミュージックがいまだに作られていないのは残念なことです。当の本人たちも、本作を一枚リリースしたきり現在まで沈黙中。うわさでは昨年の時点で2ndアルバムを完成させたみたいなことを聞いたんだけどな、どうしんたんだろうな。早く次回作をリリースしてくれると嬉しいけど、でもま、本作を聴いて気長に待つことにするよ。もう初めて聴いた時のような驚きはないけど、きっと夏になるたびに、本作を聴きかえすだろうな。飽きないですよ。それはたぶん、本作が確実に色あせることのない僕の夏の日の思い出の一部となってきてるからなんじゃないかなあ、なんて、思うんですよね。


The Avalanches - Since I Left You


The Avalanches - Frontier Psychiatrist (Good Quality)






今回の選盤理由(ササキ・タカシ)

・えー、正直今回は理由なんてないです。あえて言えば、夏だから。

・本当はタヒチ80の1stをやるつもりだったんですけど、あれ、オリジナル盤は1999年リリースらしくて、「2000年以降のアルバムをレビューする」ってコンセプトに反するのもどうなんかなあって思い、似たようなフィーリングの本作を選んだ次第です。

・永作くんがコーネリアスとかDE DE MOUSEとか好きらしく、「じゃあこういうのはどうよ?」みたいなことで。

・ホントにね、2ndアルバム、いつでるんでしょうねえ。



次回(7月20日更新)のレビューは、
My Chemical Romance『The Black Parade』です。

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

  1. 2008/07/14(月) 04:06:54|
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プロフィール

ササキ・タカシ


このブログは、80年代に生まれ90年代の音楽を愛した、心は14歳、体は20代のロック少年が、2000年代に発売されたロック・ミュージックをレビューする感想サイトです。

点数基準
10点→生涯の名盤。
9~8点→夢中になれる傑作。
7~6点→良いアルバムだと思う。
5~4点→普通に聴ける。
3~2点→ちょっと退屈。
1点→良さがわからない。
0点→不快。

2009年5月より、採点の仕方をちょこっと変更。
pitchforkにならって点数を小数点第一位まで表示。
管理人の採点をちょっと甘めにしました。

当ブログで記事を書いていたただける20代の方、募集中です。レビューが書きたくてたまらない方、既に自分のブログをお持ちの方、ロックは好きだけど自分でブログをやるのが面倒臭い方、どんな方でもお待ちしています。むしろロックなんてあんまり聴かないような方、大歓迎です。ご連絡ください。

sasaki004y@yahoo.co.jp

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