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【レビュー】 ゆらゆら帝国『空洞です』

今回のレビューは、7月2日に初のリミックス盤『REMIX 2005-2008』をリリースしたゆらゆら帝国の、2007年リリースの最新オリジナルアルバム『空洞です』です。


空洞です空洞です
(2007/10/10)
ゆらゆら帝国

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2008年7月、空洞はまだまだ続く。

8点 マサ太郎(22歳・男) →Blogs Like Teen Spirit 2

 ライブドアの本拠地ブログ(リンク参照)において、「最近の若手からは喜怒哀楽の表現衝動を感じない」という主旨の記事を書いたが、それはなにも若手だけに限った問題ではない。「ただ何となく生まれて何となく消費されて何となく消えていく音楽」が、今あまりにも垂れ流されているように思える。いや、もしかしたら、人間の感情こそがその弾力性を失い、芸術表現の根源としての機能を既に果たしていないのかも知れない。では、いわゆる先進国に生きる人間たちは、もう十分な程の自由や幸福を手にしてしまったのだろうか?少なくとも俺は、そんなことは絶対にないように思う。
 例えばプライマル・スクリームのボビー・ギレスビーは、『スヌーザー』誌のインタビューにおいてこう答えている。「人は自由になんかなっていないよ。ただ、欲しい物をそれなりに買えるだけの金を持っただけさ」と。「何かが欠落したような感覚」を、ただ物欲を処理することで満たす。その一時の解放感を自由と履き違えて。我々の享受するこの現代的な生活は、高度資本主義の奴隷だとも言われる。足りないのは時間か、金か、それとも愛か。そんな今の捻れた気分を反映してか生まれた、ただ「何かを欲すること」を徹底的に放棄したロックがここにある。
 得意だったハズの鼓膜破壊型ファズ・ギターがまろやかなトレモロへと変わり、各楽器においてもテクノ譲りのミニマリズムが徹底的に貫かれている。ルーチン、ルーチン、ただルーチン。それは、さしずめ適度に飼い慣らされた奴隷としての現代人、あるいは都合よく矯正された資本としてのミュージシャン。今は「敵が見えない時代」だと言われる。確かに安倍は異常だった。が、「反体制こそがロック」なんて、もうギャグにすらならない。そんな状況下にあって、坂本慎太郎は苦い現状認識スレスレの言葉を曖昧に転がし、「敢えて抵抗しないこと」を歌う。
 「まだ生きている」という曲名も示唆的だが、「できない」というのもなかなかショッキングだ。そして「67年以降の音はとても聴けない」というサイケ人間・坂本慎太郎の現在地として申し分ないモダン・サイケ・ナンバー「学校に行ってきます」を抜けると、途方もない虚脱感に襲われる。「ひとりぼっちの人工衛星」と名付けられた、孤独な人工衛星に立場を借りるその曲において、主人公は暴力がまかり通ったこの惑星をただ眺めている。もちろん、人工衛星になるところにある種の諦めはあるが、地球から離れられないところには優しさと愛情がある。
 最近は失言をキッカケとする芸能人ブログ炎上や、事務所サイトに寄せられる大量の抗議書き込みというものも珍しくなくなったが、何となく薄気味悪い気がするのは俺だけだろうか?何となく、みんな「反撃が来ないところ」に攻撃対象を求めているだけのような気がするのだが。あるいは、無意識の内の政治の独走や思想の統制化がカジュアルに進行しているようにも思える。そんな中、「敢えて積極的に無自覚になること」を提案したゆらゆら帝国の存在は貴重だ。これこそクロス・レビューの題材として相応しい。そして、空っぽな空気が無表情な国を覆うこの2008年においても、俺はこの『空洞です』をただ聴き続いている。


まぁいいかぁ~

6点 永作佳紀(23歳・男) →創作集団 Ditto

 ゆらゆら帝国の『空洞です』といえば・・・
 大学4年生の8月の上旬だったなぁ。
夜、家に帰って来て仮眠をとろうと思ったらがっつり寝てしまった。パソコンの電源をつけっぱなしで寝てしまった。朝の5時くらいに目が覚めた。そのとき、つけっぱなしのパソコンから「ゆらゆら帝国」の『空洞です』が流れていた。
 エアコンをかけないで窓も閉めたままで眠ってしまったため起きたら汗がびっしょりだった。朝の早い時間だったので夏でも空気が冷たくて汗がヒンヤリ冷たかった。
 まだ寝足りないと思いながら夢見心地で冷たい空気を感じながら、パソコンから流れる『空洞です』を頭のテッペンらへんで聴いていた。
 空が茜色で夕方か朝かわからなかった。ボクは「どっちでもいいや」と思った。今日は友達と映画の撮影のために7時に起きなくちゃいけない。でもボクは「まぁいいか、起きなくても」と思った。お腹が減っているけど面倒くさいから何も食べなくていいやと思った。でものどが渇いていたから水は飲もうと思った。水を飲むために立ち上がってペットボトルに口をつけて水を飲んだ。そしてまた床に寝転んだ。
「ああ、水なんて飲むんじゃなかった」
水を飲んだことに後悔したのではなくて水を飲むために立ち上がったことに後悔をした。あのどこから夢でどこから現実かわからない絶妙な緊張感はなくなっていた。「ゆらゆら帝国」が遠くに聴こえる。もう聴けない。
 ボクはパソコンを消してラジオをつけた。そしてボクはまた眠りについた。
 しばらくして、ボクはまたボンヤリと目を覚ました。さっきとあまり外の景色が変わっていない、茜色の空。ラジオからは『おはようまだやろう』が流れていた。今日はとことん「ゆらゆら帝国だなぁ、こんなこともあるんだ」と思い、ちょっと笑ってしまった。
 外からはアパートの大家さんの子どもの「ただいまー」と言う声が聞こえてきた。「もう夕方かぁ」と思ったが寝すぎて身体がグッタリしていたため動く気にもなれない。一日を無駄にしてしまったが、「それもまぁいいかぁ」とボンヤリと思った。


アンビエント帝国

採点不能 まさゆき(25歳・男) →非社会人的会社員が音楽なんかを語る

個人的に今月は「積極的にロックを聴かないでいよう月間」の為、久々にロックが聴けると思ったのに。ゆらゆら帝国って何処なんだ?坂本慎太郎って誰なんだ?とにかく僕とは縁のないバンドだった。かなり昔に、CDだったかMDだったかは忘れたけど、友人からアルバム一枚収録された音源を貸して頂いて聴いた時の僅かな記憶を辿ると、少なくてもこのアルバムよりかは普通にロックをしていた様に思う。これはその頃聴いたものとは大分印象が違う。ツタヤではJ-ロックコーナーに置いてあったけど、僕が普段よく聴いているロックのどれとも違う。ブルース?ラップ?違うな。あえて言うならこれは、言葉があるアンビエント・ミュージック、あるいは言葉によるアンビエント・ミュージックなのか。

もっともブライアン・イーノすら「空港のための音楽」しか聴けていないので信用度はゼロな訳だけど、同じフレーズを永遠と反復させるミニマルなギターを聴いていると、あのアルバムを思い出してしまう。ロックと呼ぶにはあまりにも弱々しく、しかし何かしらの意志はもっている様に感じられる。だけなのかもしれん。始まりはあったけど終わりがない感じ。僕はタバコを吸うのですが、会社なんかにライターを持って行くのを忘れて、でも外に買いにはいけない。禁煙ブームの社内で周りにライターを借りられる喫煙者がいなくて困ってしまい、机の中とかロッカーなんかを永遠とマッチやライターを探してみたりするグダグダな感じ。そんな歌が聴こえてきた。

今回、スコアは付けられませんでした。他のアルバムも聴いてみたいと思いました。


矛盾している

5点 ササキ・タカシ

 どうしようもない音楽だ。「適度にフリーな奴隷が俺だ」なんて唄われたら、文句のひとつもいえない。おまけに「お前だって、そう」なんて続くもんだからさらに胸糞が悪い。そうだよ、あんたらがどんなに人とは違うスタイルで音楽を作っても、ポップ・ミュージックのフォーマットを逸脱するものなんて作れないよ。聴いたこともない音が生み出されるだなんて誰も信じてないし、何より誰も聴こうとしないよね、そんなもの。結局、西洋音楽に耳を慣れ潰された消費の奴隷ってわけだ、僕たちは。どんなに雑食的なリスナーを気取ったとしても、たった12個の音階で表現できてしまう音楽以外を僕は聴かないし、聴こうともしていない。「片意地張って知ったかぶりすんなよ」って? カンベンしてくれ。並みのリスナーよりも幅広いスタイルの音楽を愛することができる、っていうのをアイデンティティにして今まで音楽を聴いてきたんだ。今さら“ただ聴こえてくる音楽を楽しむ”だなんて、そんなことできるわけがないよ。
 どどのつまり、あんたらは何がしたいんだ? 本当に、抵抗をすることを止めてしまったのか? あんたらを大絶賛していた連中が、このアルバムについてこんなことを言ってたよ。「ロック的なカタルシスやダイナミズムやドラマ性やハッタリや過剰な語り口を一切排した」って。本当にみんな、そんな風に思ってるのかな? 少なくとも僕には、このアルバムに収録されている楽曲は十分ドラマティックに聴こえるよ。甘ったるい、砂糖を溶かしたぬるま湯に入っているような気持ちよさに溢れた傑作だ。ん、いや、前言撤回。傑作だなんて微塵も思ってないさ。こんな“なんにもない”音楽が商品として成立してるなんてとても思えない。うん、わかってる。言ってることが矛盾してるな。「ドラマティック」とか言ったり、逆に「なんにもない」とか言ってみたり。でも、どうしようもないんだよね。だってこのアルバムは、ある時には凄く刺激的に聴こえるし、またある時には酷く退屈に聴こえてしまう。挙句の果てには、聴いていてどうしようもなく腹が立つときすらもあるんだ。
 客観的に考えると、口うるさいロック・リスナーしか好んで食べないようなニッチなオカズと化しているのがこの『空洞です』です。そういう意味で、くるりの近作やZAZEN BOYSの諸作と同様の退屈さを僕は感じてしまう。ムカつくなあ。本作を訳知り顔で絶賛している連中と、必死に否定しようとしている自分、両方、ムカつく。やっぱり、飼い慣らされすぎてるんだな。『空洞です』に蔓延しているぬるま湯の気持ち良さを素直に受け入れるには、まだあまりにも、時間が、足りなすぎる。


参考リンク

Blogs Like Teen Spirit 2 ~現役理系大学生がエセ文系っぽく語るロックやらソウルやらヒップホップやら~:【新譜】中堅世代のネクスト・ビジョン (ゆらゆら帝国) - livedoor Blog(ブログ)
Blogs Like Teen Spirit 2 ~現役理系大学生がエセ文系っぽく語るロックやらソウルやらヒップホップやら~:【序章】今こそ振り返ろう、邦楽ポピュラーこの10年。 (ゆらゆら帝国) - livedoor

Hirosixx's Music Library | ゆらゆら帝国 "空洞です"

ゆういちの音楽研究所: 空洞です/ゆらゆら帝国

MEZURASHIYA NEWS - 珍屋 ニュース:ゆらゆら帝国 『空洞です』 - livedoor Blog(ブログ)

ゆらゆら帝国 / 空洞です - bounce.com レビュー

ゆらゆら帝国「空洞です」|人生は音楽だ

Have You Ever Been Experienced? ゆらゆら帝国/空洞です(2007)

空洞です/ゆらゆら帝国 - 氏 B A R 。

ケニーの気持ち:ゆらゆら帝国/空洞です - livedoor Blog(ブログ)

茜ユリの恥日記 ゆらゆら帝国 7thアルバム「空洞です」






今回の選盤理由(ササキ・タカシ)

・7月2日にリミックス盤の『REMIX 2005-2008』が発売されたから、ちょうどいいかなと思って。

・個人的には前作『Sweet Spot』の方が好きなのですが、語るならこっちかな、と。

・このアルバムに点数を付ける行為って、ものすごい踏み絵だと思うんですよね。



次回(7月13日更新)のレビューは、
The Avalanches『Since I Left You』です。
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テーマ:邦楽CDレビュー - ジャンル:音楽

  1. 2008/07/07(月) 02:31:03|
  2. レビュー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
<<レビューで点数を付けることについて | ホーム | 【レビュー】 The Libertines『Up The Bracket』>>

コメント

えー、パソコンが戻ってきました。
聞いてたのよりかなり早く直りました。
今回から通常更新です。

  1. 2008/07/07(月) 03:22:15 |
  2. URL |
  3. ササキ・タカシ #4O1D1FCQ
  4. [ 編集]

今回は音源入手が間に合わず書けませんでした、すいません;
明日あたり来週の共々ゲオであさってきます。
  1. 2008/07/08(火) 03:14:06 |
  2. URL |
  3. ルック #-
  4. [ 編集]

>ルックさん

これ、レビューを書くとなると凄く難しい盤ですけど、聴く分にはかなり面白い盤だと思いますよ。
どうか聴くだけでも聴いてみてくださいな。

いろんな世代の人に聴いてもらって感想聞きたいなこれ。
  1. 2008/07/08(火) 23:48:25 |
  2. URL |
  3. ササキ・タカシ #4O1D1FCQ
  4. [ 編集]

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プロフィール

ササキ・タカシ


このブログは、80年代に生まれ90年代の音楽を愛した、心は14歳、体は20代のロック少年が、2000年代に発売されたロック・ミュージックをレビューする感想サイトです。

点数基準
10点→生涯の名盤。
9~8点→夢中になれる傑作。
7~6点→良いアルバムだと思う。
5~4点→普通に聴ける。
3~2点→ちょっと退屈。
1点→良さがわからない。
0点→不快。

2009年5月より、採点の仕方をちょこっと変更。
pitchforkにならって点数を小数点第一位まで表示。
管理人の採点をちょっと甘めにしました。

当ブログで記事を書いていたただける20代の方、募集中です。レビューが書きたくてたまらない方、既に自分のブログをお持ちの方、ロックは好きだけど自分でブログをやるのが面倒臭い方、どんな方でもお待ちしています。むしろロックなんてあんまり聴かないような方、大歓迎です。ご連絡ください。

sasaki004y@yahoo.co.jp

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